「アルファロメオ MITO」はアルファロメオ初のBセグメント車です。アウディA1も日本で発売されたアウディ初のBセグメント車であり、おそらく現時点ではアウディA1の最大のライバルではないでしょうか。
プラットフォームはフィアットグランデプントと共有ですが、キャラクターは全く異なっています。POLOをプラットフォームにしながら、キャラクターは全く異なるA1とそういう点でも似ているかもしれません。
デザイン
「アルファロメオ MITO」はアルファロメオのプレミアムモデルである8Cをモチーフにデザインしたものです。
並べて見てみると、よくわかりますね。
後ろの丸ライトも 8C 譲りです。
8Cをモチーフにしているのだと知れば、このデザインも急にかっこ良く見えてくるのですが、それを知らないとカッコイイというよりは、そのふくろう顔に、「かわいさ」「コミカルさ」を感じる人も多いのではないでしょうか。
ただ、インパクトは抜群ですよね。他に似ている車がないので、このデザインが好きになれば、かなり愛着がわく1台になりそうです。また、ボディラインはアルファロオらしい色気を感じさせてくれるものだと思います。(本当はもっと色気があったほうがいいのになぁと思ったりしますが)
インテリア
インテリアもアルファロメオらしい、立体感溢れる造形で、シャレてカッコイイ感じはありますが、上品という感じではありません。このデザインは少し好みが別れるかもしれませんね。
個人的には嫌いではありませんが、ちょっと落ち着きにかけるかなー、という印象がありました。
でも、このインテリアも他にはないデザインなので、これがツボにハマるならば、エクステリアデザインと相まってとてもお気に入りの1台になる可能性もあるかなと思います。
乗り心地・走り
「アルファロメオMITO」は日本で発売された当初から気にはなっていたのですが、その頃はMTのみの設定しかなく、さすがにこのクラスの車のMT車を日常的に乗るのは気が進まず、あまり触手も動かなかったのですが、TCT(AT)モデルが発売されたことで、俄然気になる存在になってきました。
アルファロメオと言えば、シングルクラッチのセレスピードが思い出されます。以前、アルファロメオ147セレスピードに試乗したときは、少し操作にコツのいるセレスピードに慣れればこれも楽しいかもとは思いつつも、日常乗りにはちょっと厳しいかなぁと思い見送った経緯があります。
しかし、今回のデュアルクラッチのTCTは、VWのDCT(アウディのSトロニック)と遜色ないスムーズなシフトチェンジで全くストレスなく走れました。
これは個人的な感想ですが、TCTはDCTと比べると、変速時に変速したということがわかったり、シフトダウン時にエンジンの吹け上がりが感じられたり、よりマニュアルフィーリングが感じられ、走る楽しさは少しだけTCTのほうが上かなという感じがしました。
また、乗り心地はスポーティーさを感じさせてくれる、やや固めの乗り心地です。
Audi A1 との比較
おそらく「MITO」にするか「A1」にするかで悩んでいる(あるいは悩んだ)人も多いのではないでしょうか。自分も迷いました。MITOはTCTモデルである、MITO Competizione で比較しました。
ボディサイズ
車種 | 全長 | 全幅 | 全高 | ホイールベース |
---|---|---|---|---|
アウディA1 | 3,970mm | 1,745mm | 1,440mm | 2,465mm |
MITO Competizione | 4,070mm | 1,720mm | 1,465mm | 2,510mm |
ぱっと見同じくらいのサイズかなと思う2台ですが、全長はMITOのほうが100mm長く、全幅は25mm 短く、全高は25mm高いです。
重量
車種 | 重量 |
---|---|
アウディA1 | 1,200kg~1,220kg |
MITO Competizione | 1,260kg |
重量はMITOがやや重い程度です。
最小回転半径
車種 | 最小回転半径 |
---|---|
アウディA1 | 5m |
MITO Competizione | 5.5m |
最小回転半径はAudiA1のほうが小さいです。
ラゲッジルーム容量
車種 | 容量 |
---|---|
アウディA1 | 270L |
MITO Competizione | 270L |
ラッゲージスペースは同じです。
エンジン・トランスミッション
車種 | エンジン | トランスミッション |
---|---|---|
アウディA1 | 直列4気筒DOHC インタークーラー付ターボ 1.4L |
7速AT(Sトロニック) |
MITO Competizione | 直列4気筒マルチエア 16バルブインタークーラー付ターボ 1.4L |
Alfa TCT(6速) |
最高出力・最大トルク
車種 | 最高出力 | 最大トルク |
---|---|---|
アウディA1 | 90kW(122PS)/5,000rpm | 200Nm(20.4kgm)/1,500-4,000rpm |
MITO Competizione | 99kW(135PS)/5,000rpm | 190Nm(19.4kgm)/4,500rpm (Nomal/All Weather) 230Nm(23.5kgm)/1750rpm (Dynamic) |
MITOのほうがやや最大出力は高いですが、Nomalモードで走っていると、少し物足りなく感じるかもしれません。Dynamicモードにすると、力強さとスポーティーさが増して走りが楽しめます。
仕組みは違いますが、AudiA1にもスポーツモードがありますので、スポーティーな雰囲気で走ることもできます。
燃費
車種 | JC08モード燃費(km/ℓ) |
---|---|
アウディA1 | 17.8 |
MITO Competizione | 14.6 |
燃費はAudiA1のほうがよいです。
価格
車種 | 価格 |
---|---|
アウディA1 | 273万円 |
アウディA1 Sportback | 293万円 |
MITO Competizione | 292万円 |
「MITO Competizione」は 292万円で「アウディA1 Sportback」とほぼ同じ価格です。ただ、この価格の中に、AudiA1ではオプションである、バイキセノンヘッドライト、リアパーキングセンサー、バドル式スイッチ、フロントシートヒーターなどが標準で装備されているので、どちらかと言えば、「MITO Competizione」のほうがお得感が高いです。
総評
「個性的な車が欲しい」「みんなが乗っていない車が欲しい」「ちょっと走りも楽しみたい」「所有していることに満足感を得たい」。
アルファロメオMITOはそんな気持ちを満たしてくれる魅力的な車です。MTしかなかった頃は、乗り手を選ぶ、趣味の車というイメージが強かったのですが、TCT(AT)モデルが発売されたことで、誰もが選べる車になり、その魅力はより大きくなった気がします。
価格は「MITO Competizione」が 292万円からとこのクラスとしては高いほうですが、他に同じような方向性の車としては、Audi A1とMINIしかありませんでの、そう考えれば、この価格も妥当と言えるのではないでしょうか。
そして「アルフィスタ」という言葉があるように、アルファロメオの車には不思議と高揚感が沸き上がってくる魅力がありますし、「この車を持ってたら楽しいかも」というワクワクした気持ちにさせられます。
実際、「アウディA1」を見るまでは、最有力候補でした。
自分は最終的には「アウディA1」を購入しましたが、A1とMITOを比較した場合、どちらかが圧倒的に優っているとか、あるいは劣っているという箇所はなく、それぞれの車の持つフィーリングの違いをどう捉えるかだけだと思います。平たく言うと、あとは単に好みの問題という気がします。
「MITO」と比較し結局「アウディA1」にした理由は、
・スタイリッシュなエクステリアデザイン
・SportBackの5ドアの利便性
・上品なインテリア
というところでしょうか。
ただ、エクステリアデザインと、インテリアは好みの問題ですので、機能面で言えば5ドアの設定があった、ということが大きかったかもしれません。
後部座席に人を乗せることは少ないものの、やはり単に荷物の出し入れだけでも、3ドアと5ドアではかなり利便性が異なりますし、3ドアの場合、サイドのドアは長くそして重くなるので、通常の出入りや狭い駐車場などでの乗り降りに気を使うことになるのが気になりました。
しかし、そういう日常的な利便性はどちらかと言えば些細なことかもしれず、MITOのエクステリアデザイン、走りのフィーリング、そしてアルファロメオブランドに魅力を感じるのなら、買って満足する1台だと今でも思います。