以前、ゼニスウィンドウの開放感がちょっといいかも、と思ったこともあったので、DS3を見に行ったついでに試乗もしてきました。
デザイン
今回見たC3は 2013年7月にマイナーチェンジしたものです。
以前見たときは、全体的に丸みを感じさせ、どちらかと言うと「かわいらしい」感じの車でした。しかし、新しいC3はフロントグリルが新デザインになり、フロントは前モデルと比べるとやや精悍さを感じさせてくれます。
前モデルでは半分くらいが女性ユーザーらしいのですが、逆にいえば、それは男性ユーザーが離れてしまっているということ。この男女比比率は、シトロエンとしても想定外であったようで、今回のモデルチェンジは男性ユーザーにアピールするためのようです。
全体の丸みはそのままですが、フロントも少し精悍さが出て、モノトーン系の色にすれば、男性が乗ってもそれなりにさまになる感じです。
シトロエンらしさや欧州車らしさを感じさせてくれるデザインで、かわいさもありながらオシャレな感じ、かつ街中でもあまり見かけないので、所有することの満足感はありそうです。
乗ってその真価がわかる、ゼニスウインドウ
特徴はなんといっても、ルーフの頭上まで広がる開放感抜群のデニスフロントウィンドウ。確かにに開放感はあるけれど、運転中は頭上をのんびり眺めていることはできないだろうから、同乗者にはいいかもしれないけど、運転者にとってはどうなんだろうか?と思っていたのですが、実際に乗ってみると、運転中でも視線の斜め上が開いていることで、開放感を感じることができます。
C3に乗ったあと、DS3にも試乗したのですが、DS3に乗った時にすごく狭い感じがしてしまう程、この開放感はある意味貴重かもしれません。
常にウィンドウがこれだけ開いていると、太陽の位置が高い時間帯でも眩しく感じることもありそうだなと思っていたところ、フロントウインドウ内側にルーフからスライド式のボード(大型のサンバイザーみたいなもの)が引き出せて、フロントウィンドウの範囲を狭めることで眩しさが軽減できました。これなら大丈夫そうです。
内側からボードを出した場合、外から見ると変にボードが見えてカッコ悪くないのか?とも考えたのですが、ウィンドウガラスの上部はスモーク仕上げになっていて、ボードが出ていても目立たなくなっていました。そのあたりは考えられていますね。
乗り心地は思ったより良い
エンジンは1.6Lトランスミッションは4ATですが、エンジンはともかく、懸念はやはり4AT。と思いつつ試乗してみると、思ったほど違和感はなく、むしろ市街地を走る分にはまったく問題ない感じ。ただ、きっと高速に乗ると、エンジン音も含めてもう1,2段上のギヤがあったらなぁと思いそうな感じではあります。
しかし、動力性能や静粛性はあまり重視していなかったので、エンジンとトランスミッションはこれでもいいかな、というレベル。
乗り心地はかなりしっかりした感じで、フランス車というよりは、ドイツ車を感じさせるものがあります。もちろん、悪くはありません。むしろいい感じです。シートの座り心地もよく、日常乗りには使い勝手がいいかもしれません。
インテリア
C3のインテリアは上質さはそれほどありませんが、シンプルながらも洗練された感じがあり、きれいな曲線が欧州車らしさを感じさせてくれます。
買うなら「C3 セダクション」
C3には、ベーシックモデルの「セダクション」と装備が充実した「エクスクルーシブ」があります。セダクションが210万、エクスクルーシブが240万です。もし買うなら「エクスクルーシブ」かなぁと思い、とりあえず、見積もりをとってもらおうと、ディーラーの方にお願いすると「セダクションのほうがオススメです」と逆にベーシックモデルを勧めてきた。
高いモデルの見積もりをお願いしているのに、安いほうを勧めてくるなんて、よほど自分が金を持ってなさそうに見えたか?(苦笑)、と一瞬思ったのですが(まあ、本当にないんですけど)、話を聞くとそうではありませんでした。
「エクスクルーシブ」モデルには、自動防眩式ルームミラーが標準装備されているのですが、その電源の配線のため、ルーフ頭上からルームミラーまで配線ラインが出ていて、せっかくのゼニスウインドウの開放感が損なわれてしまうので、みんなにセダクションをオススメしているとのこと。
これが気になるかどうかは人によると思いますが、確かにちょっと違和感を感じるかも。
オートワイパーやオートヘッドライト、自動防眩式ルームミラーなどが必須でなければ、価格も210万のセダクションがいいのかもしれません。
Audi A1との比較
ボディサイズ
車種 | 全長 | 全幅 | 全高 |
---|---|---|---|
アウディA1 | 3,970mm | 1,745mm | 1,440mm |
シトロエンC3 | 3,955mm | 1,730mm | 1,530mm |
全長、全幅はA1のほうが15mm大きいですが、全高がC3のほうが90mm高いことで、スタイリングの印象はかなり異なります。A1のほうがかなりスタイリッシュなイメージです。
C3も幅もそこそこあり、フロントグリルが変更されたことで、よりワイドな感じになったので、腰高な感じはあまりせず、バランスとしてはよいのではないかと思います。
また、C3のほうが高さは90mm高いので、乗り込んだ時にはそこそこの広さを感じさせてくれます。後部座席もA1に比べればスペース的に余裕があり、大柄な人でなければ、大人が後部座席に乗ってもそれほど苦にならないでしょう。
最小回転半径
車種 | 最小回転半径 |
---|---|
アウディA1 | 5m |
シトロエンC3 | 5.4m |
全長、全幅はアウディA1のほうが少し大きいですが、最小回転半径はアウディA1のほうが小さいです。
シトロエンC3は見た目より小回りが効かないようです。
エンジン・トランスミッション
車種 | エンジン | トランスミッション |
---|---|---|
アウディA1 | 直列4気筒DOHC インタークーラー付ターボ 1.4L |
7速AT(Sトロニック) |
シトロエンC3 | 直列4気筒DOHC 1.6L | 4速AT |
アウディA1 は、1.4L ですが、ターボと7速Sトロニックのため、キビキビ感や走る楽しさは、C3より断然上に感じました。しかし、ここはかなり個人のフィーリングによるものが大きいので、シトロエンC3の4速ATでも問題ないと思う人もいるでしょう。
価格
車種 | 価格 |
---|---|
アウディA1 | 273万円 |
アウディA1 Sportback | 293万円 |
シトロエンC3 セダクション | 210万円 |
シトロエンC3 エクスクルーシブ | 240万円 |
「シトロエンC3 エクスクルーシブ」と「アウディA1 Sportback」の本体価格差は 53万円。単純に比較するとシトロエンC3の4ATトランスミッションとアウディA1の7速Sトロニック、アウディA1の上質なインテリアを考えれば、この53万円の差はそれほど大きくないのではとも思います。
総評
シトロエンC3は基本的には実用性を重視した作りでありながら、ゼニスウィンドウという他の車にはない個性を備えたことで、実用、個性、オシャレ感がバランスよく成り立っている車だと思います。4ATという今となっては古臭さを感じさせるトランスミッションがやや気になりますが、運転する上で何か支障があるわけでもなく、全体のパッケージが気に入ったのならば、それは些細なことだと思えるでしょう。
個人的にも好きな車ですが、所有していることに喜びを感じるとか、運転することが楽しくなる、といった感じには欠ける気がして、そういうことを車に求めるならば、やや物足りない感じはあります。
アウディA1との比較という点で考えると、シトロエンC3はアウディA1と同じBセグメントの欧州車として、購入時に比較対象にする人もいるかと思いますが、本来その2台の持つ方向性はかなり異なります。
2台を同じ土俵に乗せて比較すると、アウディA1は単に割高な車に見えてしまうでしょう。同じ土俵で比較できるのならば、シトロエンC3のほうがいいのかもしれません。
自分の場合は、アウディA1を有力候補の1つとして考えるようになってからは、C3は選択肢から外しました。